甲州ワインビーフとは?格付け等級と気になるブランド牛人気ランキング

甲州ワインビーフとは?

【帰れマンデー見っけ隊‼】に、山梨県の特産品、甲州ワインビーフが紹介されました。

全国的な知名度は今ひとつながら、その美味しさの秘密とは何か。一般的な甲州牛とは何が違うのか。気になったので調べてみました。

美味しさの秘密

甲州ワインビーフは、その名の通り、ワイン製造の過程で生ずる、ぶどうの搾り粕を飼料として与え、育てられた牛肉のことです。ワイン粕には良質な繊維が多く含まれており、またぶどうの皮や種、酵素の働きによって肉質が改善され、旨味を引き出す効果があるとのこと。
甲州ワインは山梨県の特産品ですから、飼料として与えるにはうってつけだったわけですね。

生後6か月の子牛の段階からワインの搾り粕を与えられ、山梨の自然の中で丹念に育てられた牛肉は、きめ細かい柔らかさとほんのり甘みのある肉質が特徴で、臭みもなく、しっかりとした旨味と肉本来の食感を味わうことができるそうです。

また、甲州ワインビーフは赤身部分に特徴があり、敢えて肉質等級にこだわらずに、
「リーズナブルで、しっかりと旨味が乗った赤身を堪能できる牛肉」を旗印にしているのです。

欧米人は赤身肉を好むと聞いたことがありますが、霜降り肉を至上とする日本にあって、ブランド牛としては、革新的で挑戦的な試みであるともいえますね。

甲州牛との違いは?

山梨県が統一ブランド食肉として認定する「甲州牛」は、黒毛和種肥育牛の中で、品質(肉質)ランクが4,5等級に格付けされた牛という事になります。

一方、甲州ワインビーフは、父親が黒毛和種、母親がホルスタイン(乳用種)の交雑種で、そのため肉質ランクも2,3等級になります。

価格がリーズナブルに抑えられるのもこのためですが、逆にこのことによって赤身に霜が入り過ぎず、ほんのりとした甘さと、噛むたびに旨味が増すような、赤身肉の美味しさを堪能できるということなのです。

柔らかく、とろけるようなお肉、というのとは、ちょっと違いますね。

お値段は?

気になるお値段の方は、楽天市場などで調べてみると、大体1g10円前後(ロースやもも)というところでしょうか。サーロインなど、20円/g以上するものもありますが、松阪牛や米沢牛など、ほかの有名ブランド牛と比べると、やはりそのラインナップは、全体的に安価と言って良いでしょう。

楽天市場

甲州牛も、すき焼き用の肩ロースが、500gで3万円とかですから、庶民にとってはなかなか手の届かない存在だと思います。

牛肉の格付けとは?

美味しさの基準ではない

A5とかB4とか、コピー紙の大きさかよ、と思えるような牛肉の格付けについてのお話です

牛肉の格付けは、社団法人・日本食肉格付協会によって行われます。ちなみに、このような表記の格付けを行うのは牛肉だけです。豚肉や鶏肉にはありません。

また、格付けとは、決められた品質規格に基づいてランク付けすることを言いますが、そもそもこれは「美味しさの基準」ではありません。
なので、「A5(最高ランク)」がイコールそのまま「最高においしい」とはならないのです。

では何故、この協会が格付けを設けたのか。それは、誰かが中立公平な立場で適正な価格を決めないと取引が正しく(正当な価格で)行われないからです。

食肉の取引は、主に枝肉の形で、全国200ヵ所近い食肉卸売市場、食肉センター等で行われます。これらの場所で取引される食肉の価格は、全国共通でなければなりません。そこで日本食肉格付協会は全国統一の取引規格に基づく格付(品質評価)を定めたのです。

何段階あるか

牛肉の格付けは、2つの等級の掛け合わせで決まります。(1)歩留(ぶどまり)等級と、(2)肉質等級というものです。この2つの判断軸によって、15段階に格付け(ランク分け)されています。格付けの等級が高ければ取引される価格(仕入れ値)も高くなります。

「歩留等級」はA、B、Cの3段階に分かれており、牛の生体から内臓、骨、皮などを取り除いた枝肉から得られる部分肉の割合を評価します。「A」は部分肉の歩留が標準より良いことを意味します。牛1頭から得られる部分肉の割合が高ければ評価は良いものとされます。肉の質や旨味を表す等級ではありません。

「肉質等級」は(1)脂肪交雑(サシ・霜降りの度合いを示すもの)(2)肉の色沢(肉の色及び光沢)(3)肉の締まり及びきめ(4)脂肪の色沢と質、の4項目を5段階で評価して、4つの項目中、最も低い等級が肉質等級として判定されます。年間約90万頭の牛が格付されますが、その20%弱が最高ランクの「A5」に格付されます。

引用:独立行政法人 農畜産業振興機構

肉質等級はともかく、少なくとも歩留まり等級に関しては、購入する消費者にとっては余り意味のあるものではありません。スーパーなどのパックに「A5ランク」などの謳い文句があったとしても、美味しさを求めるならば、むしろ「和牛」などの表示を気にした方が良いかもしれませんね。

ブランド牛人気ランキング

次は気になる、各ブランド牛のランキングです。

ブランド牛とは、各銘柄ごとに定められた、生産地、飼育方法、品種、格付けなどの基準を満たした牛のことをいいます。読み方も、「〇〇ぎゅう」「〇〇うし」とありますが、生きている牛を「〇〇うし」、食肉として加工されたものを「〇〇ぎゅう」と呼び分ける場合もあれば、どちらを使っても構わない、という場合もあるそうです。

2023年に、阪急交通社が全国の20代以上の男女を対象にWEBアンケートを実施しており、その結果が公開されています。

【調査概要】
有効回答数:532名
調査期間:2023/8/7~2023/8/14
調査機関:株式会社ジャストシステム(「Fastask」利用)
調査対象:全国、20代以上の男女
調査手法:Webアンケート

知名度

まずはブランド牛の知名度です。

松阪牛と神戸牛がほぼ同率で首位となっています。どの調査を見ても、1位、2位はほぼ変わりませんが、3位以降は地域によって変動するようです。

〈松阪牛〉

〈神戸牛〉

甲州牛、ワインビーフは、残念ながら共にランク外となっています。

一番食べてみたいブランド牛は?

次に一番食べてみたいブランド牛です。

知名度と大きく順位は変わりませんが、1位と2位の差が結構開きました。

松阪牛が知名度、食べてみたいランキングでもトップに立ったのは、全国から集まる伊勢神宮参拝客が食べて、噂が広まったのが大きいのかもしれません。

写真を見ても分かりますが、どれもサシがきれいに入った、バリバリの霜降り肉といった感じです。

〈米沢牛〉

〈前沢牛〉

甲州牛、ワインビーフはここでもランク外となっています。

ブランド牛をどんな料理で食べたいか

最後に、この上等なお肉を、どんな料理で食べたいか、についてですが

やはり、ステーキや焼き肉など、牛肉本来の美味しさを味わう食べ方が人気ですね。

ハンバーグや牛丼はどうなのでしょう。値段を気にせずというなら、ちょっともったいない気もします。

赤身肉は焼き過ぎると固くなるイメージですが、表面をパリッと焼き上げた時のジューシーな旨味はまた格別です。たれなど付けずに、塩と黒コショウだけで味付けすれば、肉のうまみを存分に引き出すことができるかもしれません。

まとめ

ブランド牛と一言でいっても、日本全国にはざっと250種類以上のものがあります。

また、工場で生産されるような機械などと違って、生鮮品でもあるブランド牛は、一つとして同じものがあるわけではなく、賞味する人間も千差万別なのですから、格付けしたからと言って、いちがいにその優劣を決めることはできません。

甲州ワインビーフもその他のブランド牛も、生産者様のたゆまぬ研究と努力、その賜物であり結晶であるわけですから、消費者である僕らは、そうしたうんちくを踏まえつつ、ただただ美味しく、有難く頂く、それだけで良いような気がします。

数多ある銘柄の中でブランディングを図るのは、大変なことだと思いますが、甲州ワインビーフのこれからの奮闘も応援していきたいです!

コメント

タイトルとURLをコピーしました