女子柔道63キロ級に高市未来選手が登場！
サッカーなでしこジャパンの劇的勝利に加え、柔道、スケボー、フェンシングに体操と、連日のメダルラッシュに日本中が湧いています。単純に勝った負けたの話ではなく、選手たち個々の、裏に秘められたエピソードや苦難の歴史が、我々に勇気と感動を与えてくれるのです。今回は、そんな中から女子柔道63キロ級に登場する、高市未来（みく）選手を紹介したいと思います。
高市未来選手（30＝旧姓・田代）は、東京都八王子市出身。警察官だったお父さんとお兄さんの影響で柔道を始めたそうです。類まれなセンスとひたむきな努力でめきめきと実力をつけ、高校１年時には既に押しも押されぬ日本のトップ選手として、とどまるところを知らない快進撃を続けていました。ただ、そこからは左膝前十字靭帯断裂など、怪我に悩まされ続ける人生で、国際大会などでも思うような成績を残せないことが度々ありました。
高市さんは、オリンピックには2016年のリオデジャネイロと、2021年の東京と、今まで２回代表に選ばれており、今回のパリ五輪が３度目の金メダルをかけた挑戦となります。過去２回はいずれもメダルに手が届かず、悔しい思いをしてきました。５位に沈んだリオでは、一緒にいるのが恥ずかしくて、メダルを手にする仲間たちと同じ飛行機に乗りたくなかったといいます。奮起を期した東京でも、２回戦で敗れ、女子柔道の日本勢では、ただ一人メダルには届かない憂き目を味わいました。一体どれほど打ちのめされた事でしょう、想像するだけで心が痛みます。ただ、そんな彼女にも、心の支えになる存在がいました。今は夫であり、台湾柔道チームのコーチでもある高市賢悟氏です。
賢悟氏も、かつては世界選手権に出場したほどの、日本の元トップ選手。けがの影響などで思うような結果が残せず、五輪出場がかなわないまま引退となりましたが、同じ痛みを知るからこそ、妻となった未来選手の苦境が理解できたし、お互い心に寄り添うことができたのだと思います。
そんな二人が臨む今回のパリ五輪。高市姓となって初めて臨むオリンピックでもあります。日本代表選手と台湾チームのコーチと立ち位置は異なるものの、同じステージで励まし合えるのは、きっと心強いことでしょう。挫折を繰り返して強くなってきた高市未来選手を是非応援していきたいです！
最大のライバル・アグベニェス選手とは
地元フランスの代表である、クラリス・アグベニェス（31）選手は、昨年を含めて計６度の世界選手権を制覇している、世界ランキング１位の強豪です。東京五輪でも優勝し、今回のパリでオリンピック２連覇を狙うなど、優勝候補の筆頭と言われています。
外国人選手らしく、パワーがあり、不十分な組手からでも巻き込み技などを仕掛けてきたりと、超攻撃的な選手です。年齢の近い高市選手とは、高校時代を含め、過去12回対戦していますが、戦績も10勝２敗と圧倒しています。
2017年のワールドマスターズで、高市選手は初めてアグベニェス選手に勝利しますが、日本人が彼女に勝つのは2011年のジュニア選手権以来、６年ぶりの事でした。高市選手も、2016年のリオデジャネイロオリンピックの3位決定戦で敗れて以来、2021年の東京オリンピックまでの5年間は、対外国人選手54勝４敗の戦績ですが、土をつけたのは全てアグベニェス選手ということです。
大会展望
アグベニェス選手が軸になっていくとは思いますが、まずは初戦の相手、マイリン・デルトロカルバハル（29）選手です。キューバの代表選手で、2023年のテルアビブ・グランドスラム大会で準優勝しています。細かな情報はありませんが、写真を見ても、見るからに体格が良く、外国人選手であるだけにパワーもあるでしょう。安易に立ち技で勝負せず、寝技に持ち込むのが得策かもしれません。
ここまでくると、楽な相手は一人もいませんが、とにもかくにもメダルを掴むためには、１回戦、２回戦を何としても勝ち抜かなければなりません。準々決勝に進めば、そこで万が一負けても敗者復活戦の道が残ります。初戦から５連勝すれば金メダル、４連勝なら銀メダル、2勝した後敗戦しても、そこから二つ勝てば銅メダルです。運も味方につけて、何とかメダルをつかみ取ってもらいたいものです。
まとめ
過去２回のオリンピックは、勝ちにこだわり、負けると自分を責めるような、かなりストイックな面があったようです。応援してくれる周囲の為にも、「勝たねば」という意識が強すぎて、実力の半分も出せていなかったという述懐もありました。
2022年に再び膝を大けがして、選手生命の危機に立たされる経験もして、長いリハビリ生活の後で臨んだ復帰戦では、それまでの「勝たねば」という意識が薄らぎ、試合を、柔道を楽しむことができたとのこと。（結果・優勝）
「勝ちしか見えず、表情をこわばらせていた自分はもういない。あとはやるだけ」
どうか心おきなく全力でぶつかって、メダルをつかみ取って下さい！
応援しています！
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