プロ漫画家への最短距離!出版社や自治体と手を組んだ熊本県立高森高校のマンガ学科とは?

日本テレビ「1億人の大質問⁉笑ってコラえて」で熊本県立の高森高等学校が取り上げられました。番組では、漫画家を目指す同校の生徒に、1年間密着して取材するという新企画を立ち上げています。

それもそのはず、同校は日本初の、公立高でありながら「マンガ学科」を設けるという、革新的な取り組みをされている学校だからです。

将来を夢見る子供たちなど、全国からの問い合わせも急増しているようですが、今回はそんな高森高校マンガ科の、充実すぎる支援態勢についてご紹介していきたいと思います。

高森高等学校の概要

基本情報

住所:〒869-1602 熊本県阿蘇郡高森町高森1557
課程:全日制
学科:普通科グローバル探究コース、マンガ学科
生徒数:200名未満
TEL:0967-62-0185
FAX:0967-62-0937
MAIL:takamori-h@pref.kumamoto.lg.jp
アクセス:南阿蘇鉄道・高森駅から徒歩3分
校長:草原 俊明

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熊本県立高森高等学校は、熊本県の南阿蘇地区に位置する高森町にあります。人口は6,002人(令和5年3月現在)と過疎化が進む地域とあって、ここ数年は1学年の募集定員80名(2学科合計)に対して、生徒数20名程度と、ひどい定員割れが続いていました。

そのような背景のもと、同校にマンガ学科が創設されたのは、2023年の4月。そう、昨年のことです。

メディアの助けを借りながら、全国的に生徒を募集、知名度の上昇と共に志願者数も増え、2年連続で定員を満たすこととなりましたが、マンガ学科自体はまだ2年目、定員も40名と少数ですので、学校全体でも80名という小所帯でしかありません。

尚、令和5年に入学したマンガ学科1期生の男女比は、男子5名に女子が35名と、圧倒的に女子が多くなっています。また、県外からの生徒数は11名と、こちらは初年度ということもあり、全体の3割程度にとどまっているようです。

学費等

〇初年度納入金:19,550円

   入学金:5,650円、教科書代:13,900円
    ※例年、入学金と教科書代は高森町から支援があるそうです

〇別途入学時にかかる費用:156,300円

   実習・教材費等:70,000円、制服代:34,900円他

〇入学後、1年間にかかる費用:275,500円

   授業料:9,900円(月額)、PTA会費:50,400円、修学旅行費:85,000円他

上記は、令和5年度の実績ですが、やはりマンガという専門課程の学科だけに、教材費などは普通科よりもうんとかかりますね。

偏差値、倍率

マンガ学科の偏差値は 36 となっています(普通科グローバル探求コースも同様)

偏差値自体は高くないですね。
というか、むしろ低い方だと思います。

ただ、

倍率が 2.32倍(2024年度) と狭き門!

定員が少ないため、仕方のないところなんですが、もう少し増やしてくれると門戸はさらに広がるのにな、という気がします。(学校設備や教材機器、寮などの受け入れ態勢の問題もあって、簡単ではないでしょうけど)

また、入試に関しては、偏差値が低い分「実技試験」が設けられています。

内容は「鉛筆デッサン(静物写生)」、それに、与えられたテーマに対しての「マンガと文章による自己表現」(前期のみ)という課題が設けられています。

使用する画材についての動画が公開されていましたので、貼っておきますね。

これを見る限り、やはり受験合格には、主要教科よりもデッサン力や表現力といった、漫画家になるための基礎的なスキルが必要になりそうですね。

ただ、だからといって教養をおろそかにして良い、という訳ではありません。

昔、大橋巨泉さんが司会を務めていた「クイズダービー」という番組で、漫画家の「はら たいら」さんの博識ぶりが、お茶の間の大きな話題となっていましたが、

そのように、プロの漫画家の方というのは、総じて頭の良い方ばかりです。

自分は漫画家になるのだから、勉強はしなくても・・とは思わないことです。
(雑学的な要素も大きいですが、何かの分野に特化していると、プロになってから強い、ということもあります)

マンガ学科の中身

教育課程及び課外活動

マンガ学科と言っても、国・数・英など主要教科はきちんと学びます。その他、専門課程では素描や構成といった授業もあり、マンガ制作に関しては週2時間が割かれているのみです。

ただ、「マンガ部」を創部したことで、週5日の活動日を利用して、技術力をさらに高めることができます。マンガ部は、マンガ学科の生徒40名全員が入部していますが、普通科の生徒も希望して入部しているようです。

講師とその授業内容

ここが一番のミソになりますが、マンガ制作の授業は、何と、プロの漫画家さんや、実際の出版社の編集者さんが講師を務められるそうです。

私大や専門学校ならともかく、高校の、しかも公立で、厳しいプロの目線で授業を受けられるなんて、なんて贅沢な事でしょう。

プロへの一番の近道といわれる、マンガ大賞への応募も、よほどの才能とセンス、実践的な能力を併せ持たないと、コネでもない限り簡単に受賞して道が拓ける、なんてことはまずありません。

とにかく寸暇も惜しんで描いて描いて描きまくり、その度に編集者のもとに通って、教えを受けて、再びこれでもか、ってくらい描いて、ようやく光明が見えてくる、なんてのが常道です。

そのようなプロセスを高校にいながらにして、
しかも頑張って才能を開花させれば、在学中のプロデビューをもアシストしてくれる、なんて言うのですから、これ以上のものはない、と言っても過言ではないでしょう。

既にプロデビューを果たした生徒さんもいる、という事ですが、素直に「すごい」としか言いようがありません。

尚、授業では「プルコギ」などでおなじみの富沢順先生などが講師を務めて下さる他、マンガ部でも指導にあたって下さるそうです。

設備・備品・住居

マンガ学科には、プロレベルが活用する、通称「液タブ」と呼ばれるデジタル機器が、人数分用意されています。

パソコンを必要としない、実際の手書き感覚でデザインできる代物なので、色付けや描き直しなども手軽に一発。時間に追われるプロが重宝するのもよく分かります。

ただ、手書きでの描画を志向する人には、そちらも選択可能という事ですので、自由度の高い実習を受講できますよね。

また図書館には、最新作から古典的な作品まで、数多くのマンガが並べられ、職員や生徒、それに保護者や卒業生、近隣住民にまで無料で貸し出してくれるそうです。

これは、マンガ学科ならではの特典ですね~。

あと、自宅から通学できない生徒には、高森町の協力を得て、町が運営する学生寮『たかもり時空和(ときわ)ベース』への入寮と、入寮できなかった生徒には、町民の方の家での下宿を紹介することも可能だそうです。

親元を離れることに不安な生徒や保護者の方々も、その制度のおかげで安心して子どもを送り出すことができたとのこと。

まだまだ受け入れ先が十分ではない、とのことですが、町全体での支援態勢が敷かれている、というのは心強いですね。

尚、寮費については、令和4年度の情報で、月額5万円程度土日含めた食事代、水光熱費、Wifi利用料などが込々とのこと。

もともとあった寮を新しく改築したり、新設したりと、きれいで整った施設で快適な学生生活を送れそうです。

至れり尽くせりですね~。

まとめ

過疎化に悩む地域が、民間企業と連携協定を結び、公立高校にマンガ学科の創設という画期的な試みをスタートさせました。

それは、少子化対策、地方再生といった課題に対する一つのモデルケースになると同時に、将来に悩む多くの若者たちにとっても、自らの夢を実現するための貴重な手段、またチャンスにもなり得るものでしょう。

どうか一人でも多くの若者が自分の夢を実現できますことを、また、このような取り組みが、マンガだけでなく、いろいろなカテゴリで展開されますことを願ってやみません。

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