フィギュア島田麻央は五輪出られない?年齢制限が引き上げられるワケ

雑学

フランス・グルノーブルで開かれている、フィギュアスケートの『ジュニアグランプリ(GP)ファイナル・女子』で大会史上初の3連覇を飾った島田麻央選手。

将来が嘱望されるフィギュア界の新たなヒロインですが、そんな彼女も次の冬のオリンピック、

『ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪』には出られない、という話が出ています。

一体、どういうことなのか、調べてみました。

年齢制限の壁

2022年、国際スケート連盟(ISU)が年齢制限を変更、フィギュアの出場資格である年齢制限を26年ぶりに変更、

『オリンピックが開催される年の前年、7月1日時点で17歳以上』と、

それまでの15歳以上から、大きく引き上げられました。

一方、島田麻央さんの生年月日は、2008年の10月30日で、現在16歳。

『ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪』の開催が2026年ですので、その前年の7月1日は、島田さんはまだ16歳のままで、年齢制限にひっかかってしまいます。

なので例えば、これから島田さんが、シニアに上がってどれだけ活躍しても、26年のオリンピックには出場できない、という事になる訳です。

こんな話、どこかで聞いた覚えがありませんか?

そう、あの浅田真央さんの時の話です。

浅田真央の場合

1990年生まれの浅田さんは、2004年に、ジュニア女子では史上初となる3回転アクセルを成功させ、ジュニアの大会を総なめにするなど、向かうところ敵なしの状態でした。

満を持して2005年にシニアに転向すると、

その年のグランプリファイナルでは、当時の世界女王・イリーナ・スルツカヤを破り、見事優勝。

この時、浅田さんはまだ15歳。

シニアにデビューしたての中学生が、世界の強豪に一歩も引けを取らないどころか互角以上の戦いをしたのですから、世間の注目を浴びない訳がありません。

翌年のトリノ・オリンピックでの活躍が期待されましたが、当時の年齢制限(前年7月1日時点で15歳以上)にわずか3か月程度の遅れで出場ならず。

永遠のライバルだった、韓国の「キム・ヨナ」選手もまだ台頭しておらず、

出れば ”金メダル確実” 的な見方が広がっていただけに、このフィギュアの年齢制限問題は日本中で大きな話題となりました。

まだ、あどけなさが残る、当時の真央ちゃん。

この頃の、ピンクのフリフリした衣装は、彼女のトレードマークでしたね。

年齢制限が引き上げられる理由

ではなぜ、年齢制限が設けられたり、引き上げられたりするのでしょうか。

国際スケート連盟(ISU)は、若い選手の心身の健康を守るためだ、と説明します。

つまり、まだ身体が十分に成長しきっていない段階で、勝負にこだわるあまり、過度なトレーニングや食事管理で、心身ともに大きなリスクを負う可能性がある、ということです。

また、記憶にある方も多いと思いますが、

北京冬季五輪では、当時15歳だったカミラ・ワリエワ選手(ロシア)が、ドーピング検査で陽性反応を示したことがありました。

世界反ドーピング機関(WADA)の規定では、16歳未満は「要保護者」とされており、責任を負えないため、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は処分の判断を先送りしたのですが、

これをそのままにしておけば、未成年者はドーピング違反をしても処罰されないという前例になりかねません。

第二、第三のワリエワを出さないためにも、年齢制限の見直しは、国際スケート連盟にとって避けて通れない道だったのでしょう。

ただ、一方で国際オリンピック委員会(IOC)は、五輪への選手の出場に関し、年齢制限は設けていません。

具体的には、2021年の東京オリンピックで、スケートボードの女子パークに、当時12歳の開 心菜(ひらき ここな)選手が出場しています。

また、女子ストリートでは、西矢 椛(にしや もみじ)選手が、13歳という日本史上最年少の若さで金メダルを獲得するなど活躍しています。

ダブルスタンダードとまでは言いませんが、『なぜ?』と不信感を抱く人間がいたとしても仕方がない状況と言えるでしょう。

期待される効果

島田麻央さんの「まお」という名前は、浅田真央さんのファンである、お母さんがつけた名前だそうです。

島田さん自身にとっても、浅田真央さんは特別な存在で、中京大中高校に入ったのも、憧れの先輩の背中を追ってのこと。

そんな同じ「まお」の名を持つ二人が、やはり同じフィギュアの年齢制限の壁によってオリンピック出場の道を絶たれるとは、何か因縁めいたものを感じますが、

ただ、当の島田さん自身は、

全然、残念とは思っていないんです。

まだまだ実力が足りていないので、出られる年(30年)の五輪で代表に選んでいただけるように、これからも変わらずに頑張っていきたいです

と、全く意に介さない、前向きなコメントを。

ただ、あれですよね。

ジュニアから上がったばかりの、体重も軽く少女体形の子の方が、自身の「軽さ」を武器に出来る分、メダルに近いっていうか、

ジャンプなど高難度の技に挑戦しやすくなるんですよね。

そういった事実を示すように、参加年齢が15歳以上になった、長野五輪から北京五輪までの7大会のうち、金メダルを獲得した女子シングルの選手は、

24歳で頂点に立った2006年トリノ五輪の荒川静香さんを除けば全員が10代です。

この間の金メダリストの平均年齢(大会当時)は17・6歳で、男子シングルの21・7歳とは約4歳の開きがあるんだとか。

一方で、燃え尽き症候群ではないですが、

けがや生理不順といっ身体への負担や、精神面への影響から、オリンピックでメダルを獲得した後、20歳前に競技を引退する前例が繰り返され、問題視されてきました。

98年長野五輪・金メダルのタラ・リピンスキーさんや、2018年に15歳で平昌オリンピックを制したアリーナ・ザギトワさんらです。

特にロシアの選手の傾向かな、、と思いますが、

どんな理由があるにしろ、10代の、ジャンプが一番跳べる時期に、一回金メダル取ったら終了、、みたいになっちゃうのは、いちファンとして残念に思わざるを得ません。

そういう意味では、今回の年齢制限の引き上げも一定の効果を生むのかな、、と思いますし、

浅田真央さんも、ジュニアの頃と比べて身体が大きく成長してからは、得意だったジャンプにも苦戦するようになりましたが、

最終的に30歳近くまで、懸命に努力しながら息の長い競技生活を続けられました。

そういう姿こそが、周囲に感動を生み、競技そのものの成熟度を高め、また後進の ”後に続きたい” という想いの源泉になるような気がします。

島田麻央さんも、今回は残念でしたが、

どうかそうした先輩たちの後を受け継いで、女子フィギュア界の未来を背負って立つような存在になっていってもらいたいな、と思います。

まとめ

〇『ジュニアグランプリ(GP)ファイナル・女子』で、大会史上初の3連覇を飾った島田麻央選手がオリンピックに出られないのは、

国際スケート連盟(ISU)が、年齢制限を26年ぶりに改訂し、『オリンピックが開催される年の前年、7月1日時点で17歳以上』としたからでした。

〇同じような例に、トリノオリンピックに年齢制限によって出場できなかった浅田真央さんがいます。

〇なぜ、年齢制限が引き上げられたのかについては、国際スケート連盟(ISU)は、若い選手の心身の健康を守るため、と説明しています。

〇今回の年齢制限引き上げで、選手の競技への取り組み方や、演技の質の変化などが見られるかもしれません。

アクセルとか4回転など、高難度のジャンプも確かに見どころですが、かつての荒川静香さんのイナバウワーような滑りも、すごく魅力的で素晴らしいと思います。

アクロバティックな演技だけではない、フィギュアの本来の美しさを追求するような大会になって欲しいですね。

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