パラリンピックの旗手に選ばれ、テレビ放映されたことなどで一躍注目の的となった西田杏選手。
ブログでは、どこかで絶対書きたいと思っていましたが、出場種目となる競泳女子50mバタフライ(運動機能障害・S7)が7日(土)に迫る中、
実は今日3日(火)がお誕生日であることに気づき、これは書くっきゃない、って訳で、ペンを執った次第です。(実際はペンじゃなくて、キーボードですけどね)
童顔で、笑顔のよく似合う、とても愛くるしいお顔が、お茶の間で「かわいい」と評判になっているようですが、
今回は、そんな西田選手のプロフィールと、生い立ちからの競技人生を振り返りながら、水泳にかける情熱や今大会に向けての展望、また旦那様である森宏明選手とのなれそめなどを紹介していきたいと思います。
西田杏選手とは?
プロフィール
本名:西田杏(にしだ あん)
生年月日 :1996年9月3日★本日、28歳になられます!おめでとうございます‼
出身地 :埼玉県所沢市
身長:152cm
学歴:東京学芸大学卒
所属:SHIRO
障害種別 :切断/欠損(左上腕欠損、右足大腿骨欠損)
生まれつき、左腕と右脚が短く、物心ついた時から義足で生活してきた西田選手。
ただ、「生まれつき、こういう体で、この体しか知らなかった」
から、「何の不便も感じなかったし、長袖とか長ズボンで自分の手足を隠すこともなく、人から見られてもあまり気にもしなかった」とのこと。
しかし、もし自分がその立場だったら、周りとは圧倒的に違うわけだし、他人からじろじろ見られるのも嫌だから、家に引きこもりがちになりそうだな、とか思うんですが、
そうでないところに、西田選手のめちゃめちゃポジティブで活発、しかも明るい性格がくみ取れます。
これはきっと、ご両親の
「他のみんなと何も変わらないように、特別扱いしないで育ててくれた」
存在が大きかったのでしょうね。普通なら、ご自分を責めて、子供が悲観的にならないように最大限のフォローしようと、日常的に関与されるような気がします。
敢えて自然体で接したことが、西田選手の、積極的で前向きな姿勢を育んでいったんでしょうか。
きっと葛藤もあったことでしょう。
本当に素晴らしい事だと思います。誰にでもできる事ではありません。
水泳との出会い
そんな西田選手が水泳と出会ったのは、小学校の水泳の授業とき。
体育の授業も殆ど休んだことがなかったそうですが、その時に、
「水の浮力が自分の障がいのハンディを補ってくれる」楽しさに気づいたそうです。
「私もみんなと同じように泳ぎたい」
そんな想いが行動をかきたて、学校が終わると、毎日のように市外にある障害者向けの施設まで母に送迎をしてもらい、時間を忘れて水泳を楽しんでいました。
障がいがあるから泳げない、と思われるのが嫌だったからみたいですが、
息継ぎが下手で25mをコンプリート出来ず、飛び込むと思いっきり腹を打つのが恥ずかしくて、水泳の授業を嫌っていた自分とは大違いです。
西田選手が本格的に水泳に打ち込むようになったのは、川越女子高校に入学し、水泳部に入ってから。
健常者である仲間たちについていこうと、必死で練習に打ち込んだそうです。
西田選手に幸いしたのが、左手と右足という、左右対称軸での欠損。例えば右半身まひとか、左手と左足の欠損という障害者よりも、バランスを取りやすい。
「泳いでいくうちに、自然にバランスがとれるようになりました」
と言うように、努力が実を結び、泳ぐたびにタイムが伸びて、大きな大会にも出られるようになっていきました。
結果が伴うようになり、国際大会への出場など、風景も広がっていく中で、パラリンピックを目指すようになったのは、先輩たちとの出会いもきっかけになったようです。
「かっこいいなって憧れが大きくなっていき、自分も出たいなって思うようになりました」
そんな西田選手の憧れであり、目標でもあった、北京パラリンピックでの金メダリスト、
鈴木孝幸選手は、今回も男子50m平泳ぎ(SB3)の種目で、見事金メダルに輝きました!
これは、後に続く西田選手にとって、大きな追い風になってくれそうです。
おめでとうございます‼
味わった挫折
大学1年の日本選手権で3種目で大会新記録を出し優勝したときには、夢だったパラリンピック出場が現実味を帯びてきました。
種目では、1番速いタイムが出ていたバタフライに専念、
翌年に控えたリオパラリンピックに向け、必死に泳ぎ込みを行い、万全の準備をして挑んだ選考会では、安定した泳ぎで優勝。
しかし、残念ながら派遣記録に届かず、パラリンピック出場は叶いませんでした。
「トップになりたい、じゃなく、自分もなれる」
大会前、こう自信ありげに語っていた西田選手も、さすがにこの時ばかりはへこんで、半年間以上ひきずっていたそうです。
それでも目標を見失うことなく、次の東京を目指して再スタートを切った彼女に、新たな壁が待ち受けていました。
それが2018年に行われた国際ルールの改正です。
腕に障がいがある選手の場合、それまで認められていた片腕での泳法が禁じられてしまったのです。
以来、両腕を使った泳法に変更せざるを得なくなりましたが、
「生まれた時から左腕は筋力が弱いので、動かすには、よりパワーが必要になる。右腕だけなら速く動かせるのに、両腕を同じペースで動かさなくてはならない為、泳ぎもぎこちなくなり、両腕を使った泳法に、なかなか順応出来なかった」
と話すように、このルール改正は、左右のバランスを上手にとることで勝ってきた西田選手にとって、とても不利なものでした。
コロナ禍で国際大会も自粛ムードが高まり、インターバルが拡がる中で、懸命に左腕の筋力アップに取り組みましたが、1年延期となった東京パラでも8位入賞と、満足のいく結果は得られませんでした。
パリ・パラリンピックに向けて
2023年、中国の杭州で開かれたアジアパラリンピック競技大会・50mバタフライ(S7)では、見事に優勝、
また、今年5月に開催されたジャパン・パラリンピック競技大会では、日本記録を更新する36秒62を出して優勝するなど、着実にパリでのメダル獲得に向けて歩みを進めています。
そんな西田選手のストロングポイントなるのが、強靭な左脚から生み出されるドルフィンキックです。
義足は蒸れるため、幼少期の頃から「ケンケン」でみんなと一緒に走り回って遊んでいましたが、そのおかげで、左脚には自然と強い筋肉がついていたのです。
現在もトレーニングでは義足を外し、片脚で移動。しかし、これが西田選手の中では、当たり前。
小柄だからこそ、できる技かもしれませんが、小さい頃から鍛えあげた自慢の左脚が、世界レベルのスピードにつながっているのは間違いありません。
ただ、小柄な体格であるがゆえに、スタミナという不安要素もあります。
50mという距離ながら、体全体をダイナミックに動かして進むバタフライという泳法は、手足に障がいを抱える選手のスタミナを、急速に奪っていきます。
世界に冠たる類まれなスピードを、後半まで維持することができるか、そのへんがメダル獲得への課題となりそうです。
森宏明選手とのなれそめ
さて、これからは競技とかの話題じゃなく、ご主人である森選手の紹介や、なれそめなどをつづっていこうと思います。
森「選手」と書いていますが、それは何を隠そう、ご主人も立派なパラリンピックの選手だからです。
ただし、冬季の方で、競技はクロスカントリーのノルディックスキーで、北京パラにも出場されています。
年齢は、西田選手と同い歳で今年28歳。
ただ、障がいは高2の時に逢った交通事故が原因で、両足を切断されたらしいです。
生まれつき、というわけではないので、森選手は「義足を見られたくない」という思いから、金属部分にスポンジを巻いて、長ズボンを履いて、と必死に隠していたとか。
そんな時、2019年8月にあった、日本パラリンピック委員会主催のアスリート研修会で、初めて西田選手を目にしたのですが、
「彼女は席につくと、義足を取り外して隣にぽーんと置いていて」
と、その姿が非常に印象に残ったそうです。
何となく目に見えるようですが、何事もあっけらかんとして、明るい西田選手らしいですね。
また、アイスブレイクで、自分のプロフィールにひとつだけ嘘を混ぜて紹介し、ウソを見極めるというお題では、18歳って言ってたらしいです。(ホントは23歳くらいですよね)
童顔であるがゆえに通じる嘘かと。。
しかも、森選手が23歳と知って、「同い年‼」って自分から白状しちゃったみたいで、そこが森選手にとってもツボだったらしい。
何とも微笑ましいエピソードですね。
その後、西田選手の出場する大会に応援に行くようになり、親交を温めた二人は、2021年末にめでたくゴールイン、となりました。
真面目で女子力が高く、虫が嫌いな森選手に、明るく前向きで、ざっくりした性格の西田選手、二人はお互いを「ヒロくん」「アンちゃん」と呼び合っているようですが、
「性格は真逆」と称する二人の結婚生活は、どちらかというと、西田選手の方がマウントを取り、イニシアチブを握っているようです。
想像ですけど。。
まとめ
少しでも多くの人に応援してもらいたくて、
西田選手のプロフィールから、味わった挫折、パリパラリンピックに向けた課題や、旦那さんである森選手とのなれそめなどをご紹介してきました。
今日がめでたく28歳の誕生日という事で、きっとチームのメンバー達から温かい祝福を受けていることでしょう。
オリンピックを含めて、過去自分が応援してきた選手、チームは誰もがメダルに届かず、残念な思いをしてきましたが、
だからこそ、余計に西田選手には頑張ってもらいたいです。
今回の大会スローガンは、「挑め、自分史上最強。」だそうですね。
どうか持てる力を全て出し切って、表彰台の上で、トレードマークであるはじけるような笑顔を見せててくれることを、祈っています!
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